トップ ページ 
MyProfile 
こんてんつ 
LINK 
MAIL 
掲示板あ・てんぽ 
アルバム「ネコ岳」 

 

 

 

 

♪マスター市村♪とは
TANNOYカンタベリー15を球アンプで鳴らす市村さん は,吉田さんをして
「あそこの音は凄い!」と言わしめるJazzマニアですが,音楽舎ではニコニコ
とレコードを次々にかけられる喫茶店のマスタみたいな方です。
このコーナーは市村さんのレコード棚から「これは!」っと思う推奨盤をご紹介して
いただいています。

『インスピレーション&パワー14(ABCJ-7576)

佐藤允彦、富樫雅彦、山下洋輔、吉沢元治ほか

 

40有余年の歴史を持つ博多の老舗ジャズ喫茶「リバーサイド」の経営者が変わり、先日リニューアルオープンした。

6代目マスターに就任した小串氏はサラリーマン時代に培った企画力と幅広い人脈をフル活用し、ブルースコンサートやプロアマ入り乱れたジャムセッション大会などを矢つぎ早に打ち出して、早くも豪腕振りを発揮している。

入りが心配されたアヴァンギャルド大会でさえも、珍盤奇盤をかかえたお客で熱気に溢れかえった。

投票の結果、当日の最優秀賞は阿部薫が加わったミルフォード・グレイブスのキティ盤に決定。

阿部薫人気は依然根強いものがある。

これを持ち込んだのは羽野昌二と共演したこともあるピアニストで、見事副賞のボトルを獲得していた。

ちなみに次点は私で、アンソニー・ブラクストンのステープルチェイス盤から「コンファメイション」をかけた。

コントラバスクラリネットによるパーカーナンバーが終わり「牛ガエルの伴奏をするテテ・モントリュー・トリオでした!」とやったら大ウケだった。

でもこうやってジャズをみんなでわいわい言いながら聴くのもいいと思った。

翌日は副島輝人著『日本フリージャズ史』を書店で見つけ、即レジに。

御年70歳の氏の愛情が行間からひしひしと伝わってくる

名著だ。

触発されて日本のフリージャズを数枚買い込んだ。

昭和48年新宿で行われたフリージャズ大祭を記録した『インスピレーション&パワー14』は内容はともかく、激しく訴えかける側と貪欲に感じ取ろうとする側が生み出す濃密な空気が見えてくるようで面白かった。

(H14.5.18)



『FISHERMAN'S .COM』坂田 明(EOCD-0002.)

みなさんはジャズ批評のドラム特集をみましたか?
ブライアン・ブレイドの功績がかなりの紙面を割いて取り上げられていたのは
ファンとして喜ばしいかぎりでした。
だけどもう昔のような派手なタイコを叩いてないのが寂しいね。
ひょっとして本人はドラムそのものよりトータルなサウンド作り、っていうか
音楽プロデュースの方に興味の主体が移ってるんじゃないのかなあ?
ウルフガング・ムースピールやリック・マギツァーとの共演盤なんかを聴いて
いるとそんな気がしてなりません。
まあ内容そのものは高い水準をクリアしてるんですけどね。
そんな折もおり馴染みのCDショップで『ハーミット・ドレイクって凄くいいですよ!』
と教えられた。
またも悪魔の囁きにあい在庫中のCDを全部買った。
ロフト派のクリフ・アンダーソンのクインテット、ベーシストのウィリアム・パーカー
とのデュオ、ブロッツマンと近藤のバンド『ダイ・ライク・ア・ドッグ』そして坂田明
の話題の新作『フィッシャーマンズコム』の4枚。
『わ〜本当だ凄くいい!』
近年はビル・ラズウェル、デビッド・マレイとの共演も多く、パワフルだけど重苦しくない
独特のグルーブ感の持ち主。
上に挙げた作品はどれもドレイクが参加していることでビシッと一本筋が通ってるのね。
いままでにないタイプのドラムだと言えましょう。
こんだけリズムに浸って聴けた作品はひさしぶりじゃったです。
無理を承知で比べてみるとブライアン・ブレイドはエネルギーが水平方向に広がる感じ、
それに対してハーミットは垂直方向に立ち上っていく感じ。
これからはドレイクの時代が来ますよ、きっと。
私今日からしばらくハーミット・ドレイクの追っかけになります。  
(H14.4.12)



『YELLOW CARCASS IN THE BLUE』
Kimiko Kasai with the Kosuke Mine Quartet (TBMCD1808)

笠井紀美子の代表作はと訊かれてこれをあげる人は意外に多い。
知り合いの中古レコード店主などはこれが一番いいと断言していた。
実際に内容は素晴らしいもので年季の入ったジャズファンほど本作を愛でる理由がわかる。
一曲目のイントロからして峰 厚介カルテットはエンジン全開で猛烈にドライブ。
そんな当時最強のバックに一歩も遅れをとらない笠井紀美子がまたソウルフルで迫力満点。
ああ〜いいジャズだな〜とみぞおちの辺りからしみじみと幸せが湧いてくるような演奏だ。
収録曲中、半分は笠井抜きのインストナンバーなので最初はアレッ?となるが、こちらも
全員が良く歌っていて凄く気持ちがいいし、違和感は無い。
限定再発盤なので未聴の方は早目に購入されたい。
そして購入したらすぐにスリーブ・コピーに注目。
"笠井紀美子27歳夏、身も心も狂おしくジャズに泥酔した頃…。"
ってそんなに毎日飲んだくれていたのか笠井紀美子。
場末のスナックでボトルを抱いて酔いつぶれている姿を想像してしまうじゃないか。
まあ酒も音楽も陶酔するぐらいでやめておくのがよろしいようで。
(H14.3.4)


『ALL BLUES』RAY BRYANT TRIO(VICJ-60855)

最近ディスクSHOWAのギガケーブルが評判を呼んでいる。
音の重心が下がり、楽器がドンッ!と前にせり出してくるらしい。
なんでもスイス陸軍規格の線材を使っていて、寺島さんなどは「メグ」
のケーブルを全部取り替えてしまうほどの惚れ込みようだという。
しかしまたどうしてスイスなのか?何か秘密があるのか?そこのところ
を尋ねてみたくなり久方ぶりにディスクSHOWAに電話を入れた。
「低温処理です。」とあっさり教えてくれたのは店主の松崎さん。
液体窒素を用いて一本づつ丁寧に処理しているのだそうだ。
やはりそうした付加価値がついていた。
そこで試しに低温処理したケーブルとヒューズを送ってもらった。
ケーブルの方はかつて松崎さんが絶賛していたISODAに比べ、
ずいぶんと骨太で力強いという印象だったが、驚いたのはパワー
のヒューズを取り替えた時だった。
たかがヒューズ一本と侮ることなかれ。
音圧は上がるわ重心は下がるわで、その効果の大きさに思わず
声をあげてしまった。
音楽の躍動感が増して上機嫌の私はレイ・ブライアントが日本で
ライブ録音した高音質CDを取り出した。
おっとこれは失敗、観客の無神経な手拍子が耳障りで興ざめだ。
気をとりなおして『オールブルース』をトレイに納める。
ヤッホー!やはりパブロのブライアントにハズレは無い。
何の変哲もないブルース集なのに聴きこむほどに味わいが増す。
お屠蘇に酔い、ジャズに酔い、低温処理に酔う極上の正月が過ごせた。
松崎さんどうもありがとう。
(H14.1.8)

『SHELLY MANNE&HIS MEN AT THE MANNE HOLE VOL.2』
 (OJCCD-715-2)
「今度の水曜、トラでタイコをやってくれない?」とGさん。
「ええ、いいですよ。どうせヒマですし。」とほろ酔い加減の私。
Gさんのバンドのドラマーが仕事の都合でライヴに出られなくなり、
代役として私にお鉢がまわってきたのだ。
毎日少しづつ練習はしていたものの、レコードにあわせて膝を叩い
ている程度だったので、家に帰ってから安請け合いしたことを後悔した。
人前でスティックを握るのは実に20年振りのことだったし、プロに混じ
って演奏するのなんて勿論はじめての経験だ。
ここはひとつ何も考えず酒の勢いでどばーっと行こうと腹を決めた。
そして当日、酒の力を借りてどばーっと叩いたら、何度も小節を数え間
違えてしまった。
でもそんなずさんなリズムに乗っても、自分の歌をかなでてしまうのだから
やはりプロはゴイス−だ。
演奏しながら聴き入ってしまった。
そうだそのせいで小節を忘れたことにしよう。
それはそうと今月の推薦盤。
ライヴでは"グリーン・ドルフィン・ストリート"を演るということだったので、
曲をチェックしようと引っ張り出したのがこのCDだった。
ひさしぶりに聴き直していたら、次第にジャズ入門者だった頃を思い出した。
初心者の私にジャズへの扉を開いてくれたのがこうしたウェストコーストもの
だったのだ。
聴き込んでいくにつれ明快で小粋で軽々と難しいアレンジをこなす西海岸
の連中のとりこになっていった。
このアルバムもライヴ録音ながら、マイルスより凄いとの説もあるコンテ・カンドーリ
のトランペット、通好みのリッチー・カミューカのテナー、ラス・フリーマンの落ち着
いたピアノが絶妙にブレンドしていて、これぞウエストコーストサウンド!といった
塩梅に仕上がっている。
現在までのところVOL.1、VOL.2ともCDで入手可能。
ライブ盤ゆえ長尺の演奏が多いものの、ダレる局面はまったく無く、末長く愛聴
するに足る出来となっている。
(H13.11.26)


『THE OLATUNJI CONCERT:THE LAST LIVE RECORDING』  JOHN COLTRANE(UCCI-1001) 意外だった。 この日のコンサートの趣旨からいっても、アフロパーカッションを加えた 楽器編成からみても、アフリカ色の濃い演奏を想像していた。 おそらくジャンもそのつもりだったと思う。 戦慄のテロ計画が発覚するまでは…。 ビリー・テイラーのMCに続いて始まる『オグンデ』。 静謐な導入部もつかの間、次第にテロリストの本性を明らかにしていく ラシッド・アリ。 高速で叩き出されるパルスビートが地鳴りをあげると、会場は一転して 砲弾の炸裂する戦場と化す。 休む間も無く応戦するジャンとファラオのテナーは速射砲の銃身のよう に真っ赤に焼けていたはずだ。 しかしこの曲さえも恐怖の序章に過ぎなかった。 『マイ・フェバリット・シングス』 さらにスピードを増すラシッドのドラム。 この底知れぬエネルギーを何と表現しよう。 何かが取り憑いたかのように凄まじい。 この時点でこの男はエルヴィンを抜き去り、歴代最強のドラマーとなっ たのだ。 そして衝撃のカットアウト。 お世辞にも良いとはいえない録音状態もかえってドキュメンタリーとし てのリアルさを増幅させている。 こうなったら是が非でも残りの二曲が聴きたい。 ついでにジャンのカルテットにウェス・モンゴメリーが加わった時の テープ!これも何とか発見して欲しい。 もうどんな録音状態でも構わない。 焼失したはずのウェスの愛器ギブソンL-5が最近ひょっこりネット オークションに出現したというではないか。 二人の共演テープもひょっこり見つかるという可能性は大いにある。              (H13.10.4)


『BLUE BOGEY』WILTON"BOGEY"GAYNAIR(JASCD608) ウィルトン・ゲイナー。ライナーによると出身はジャマイカ、同郷のディジー・リース の勧めでイギリスに渡ったそうだ。 『ヨーロッパのジャズディスク1800』には"ホーキンスを彷彿とさせるダンディさと、 パーカー、ワーデル・グレイを偲ばせるバッパー的な資質が加味された好テナー"とある。 ジャスミンレーベルの手により怒涛の勢いで復刻される英Tempoの作品群にあって、 タビー・ヘイズやドン・レンドルに比べ知名度こそ激しく劣るものの、原盤の10インチ盤 には数十万の値段がついたという。 『これはもの凄〜くいいです!』とお店の人。 そのいつにも増して熱いまなざしに気圧されて買いを決めて大正解、これは本当によかった! 一曲目からスイスイ乗っていける。 こうした作品をマニアだけのものにしちゃいかん。 スムースな音色、ゆったりとしたノリ、よく歌うフレーズをあ〜いいな〜っと目を細めてじっ くりと鑑賞したい。 白眉はリハーサル風景を収録したという『RHYTHM』。 テナーとベースの二人で始めたブルースに、休憩中のピアノとドラムが席に戻り演奏に加わる。 録音を意識しないリラックスしたセッションが徐々に本気となっていくさまが微笑ましい。 いまや英国ジャズ界のサルベージ屋の様相を呈するジャスミン。 深海からどえらい財宝を引き揚げてくれたものだ。 今のところT島Y国さんの目にもとまってないみたいだけど見逃すと一生の損だ。 さえない作りのジャケットには眼をつぶるからどんどんこんなの出して欲しいね〜。 (H13.8.27)

 



『IS THAT IT?NO BUT…』CHARLES McPERSON QUARTET (VEGA RECORDS SART-1005) あのミンガスをして60年代最重要のアルトと言わしめたチャールズ・マクファーソン の久々の新譜。 じき62歳になるマクファーソンは心技体ともに今が旬ではないのか。 本作を聴いていてしみじみそう思った。 しかし実物はその数百倍いや数千倍は凄かった。 ライブの当日、早めに会場に足を運ぶと薄明かりの中でアール・メイがひとりソファ にもたれて放心したようすで宙を見つめていた。 74歳の身にベース運びは堪えるのかと心配したが、本番では終始にこやかな表情 で正確なビートをバンドに供給していた。 アルトバトルの相手に指名されたヴィンセント・ハーリングも体調不良で散々な出来 だった前回の借りを返えさんと静かに燃えている。 アルトの頂点に果敢に挑戦する若武者といった風情だ。 だがやはりこれを迎え撃つマクファーソンのほうが役者が数段上だった。 そのアルトの鳴りっぷりは尋常ではなく、歯をくいしばっていないと音圧でつぶされ そうだった。 そしてドラムの田名 昭(漢字でこう書くらしい)。 一打一打がズシリと重いのに、そのスティックさばきたるや、まるで手品師のように 軽やかなのに驚いた。 こうしたメンバーの中にあって、ややミスマッチかと思われたドン・フリードマンだっ たが、あにはからんや息を呑むほど瑞々しく、鮮烈なピアノでバンドの品格を押し上げ ていた。 彼らの熱演を目の当たりにしていると、何度も胸に込み上げてくるものがあった。 今、本物のハードバップが目の前に繰り広げられている。 夢のような現実に心底感動し、涙があふれそうになった。 超高速の「コンファーメーション」ではマクファーソンのソロを引き継いだヴィン セントの手が止まった。 ライブが終わり、がっくりと肩を落としてひとりホテルに引き揚げたヴィンセント。 アルトケースをぶら下げ、うちひしがれた彼の背中に声をかけたくなった。 「いやいやなかなかの力演だったよ。ただ相手が悪かったね。なにしろ彼はバードの 末裔なのだから。」と。 でも待てよそうすると一体チャーリー・パーカーってどのくら凄かったんだ? 想像しただけでも戦慄する。 (H13.7.21)


 


『SONGS』 BRAD MEHLDAU(WPCR-2098) 今わたしはブルーノート福岡に来ている。 出演はブラッド・メールドウのトリオで、そのセカンドセットの真っ最中だ。 そしてこともあろうにわたしと友人のふたりはステージ上にしつらえられた 急造の席に座らされている。 ピアノから1メートルほど後ろの席なのでブラメの後頭部が手に取るように 観察できる。 それにしてもさっきから我々に当っているスポットライト、何の意味が あるのか。 関係者でもあるまいし緊張するじゃないか! これじゃおちおちトイレにも立てん。 客席からは忘我の表情を浮かべるブラメと硬直したわたくしめの姿がブルー のライトに浮かび上がって見えていることだろう。 その客席をチラッと見渡してみた。 おや?明らかに不完全燃焼の様子。 きっとみんなアート・オブ・ザ・トリオのVOL2やVOL4のノリを期待して 来たに違いない。 そうこうしているうちにもう最後の曲。 一曲目からアンコールの「フライ・ミー・トウ・ザ・ムーン」までそれはそれ は静かで淡白なステージだった。 アート・オブ・ザ・トリオのVOL2やVOL4のノリを期待して来た人たちに はフラストレーションがたまったことだろう。 しかしながらわたくしめ的にはアート・オブ・ザ・トリオのVOL3やエレゲイ ア・サイクルにこそ彼の本質があると信じて疑わぬ身ゆえ今夜のように叙情的 な演奏は大歓迎、存分に楽しめた。 気が付くとベースのラリーとドラムのホルヘの二人もインタープレーを忘れ、 うっとりとブラメのピアノに聴き入っていた。 サインをもらおうと連れが差し出すCDを見て「わ!フレッシュサウンドだ。」 (英語で)と感心していたブラメ。 自分が入っているわけでもないのにそのCDに快くサインしていたラリー。 そしてシルバーのネックレスをシズラー替わりに使っていた小粋なホルヘ。 君たちはサイコーだ。 ジャズなどというチンケな世界からは一刻も早く飛び出して欲しい。 (H13.6.5)

 



『NEVER LET ME GO』 SWEET BASIL TRIO(TECW-20785)
毎月20〜30枚はピアノトリオを買っているだろうか。
しかし勝率はと言うとこれはもう絶望的に低い。
たとえば思想家然とした容貌のGaspard Glausのトリオ。
一聴して甘さ控えめの硬質なリリシズムにひかれはしたものの
繰り返し聴いているうちにムラのあるキータッチと、粗雑なリズムセクションが気に
なった。
ジャケットのグリーンも鮮やかなBaptiste Trotignonの作品も全体を通して散漫
な印象しか残らなかった。
でもまあこれは最近のピアノトリオ全般の傾向だからしょうがないか…。
ところで私はピアノトリオのスタンダードをスウィートベイジルトリオにおいている。
重心が低く、粒立ちの揃ったシダー・ウォルトンのピアノ、柔軟で安定感抜群の
デヴィッド・ウィリアムスのベース、ビリー・ヒギンズの燻し銀のブラシワークといくつ
もの聴きどころがあるこのトリオを基準に昨今のピアノトリオ業界を透かし見たとき、
モダン、前衛を問わずその真贋は割合簡単に判明する。
でも最新作『モザイク』でのシダーはやっつけ仕事に終始していて本当にガッカリ
させられた。
その代わりにと言っては何だが、彼らの水準の高さを示す作品としてこのあたりを
推奨しておきたい。
優れた小説がそうであるようにシンプルな語り口でありながら、深い説得力を持っ
ていて、一通り聴いた後もまたすぐに聴きたくなると言う不思議な魅力を持ったア
ルバムだ。
どの曲からも寛いだ雰囲気と、レギュラートリオならではのガッチリした親和力がに
じみ出ている。 
それにしてもこの三人が繰り出すリズムにはなんと心がこもっていることか!
奇妙な録音定位が多いさなか、ヴァンゲルダーの奇を衒わない仕事ぶりにも
最大級の賛辞を送りたい。
どうか何度でも繰り返し聴いてピアノトリオに対する審美眼を養って欲しい。
(H13.5.1)


『Tin Pan』 鈴木茂 細野晴臣 林立夫(RWCL20009)

何とものんきな音楽だ。
録音もくぐもっていて抜けが悪い。
マーカス・ミラーの新作を聴いた後だからなおさらだ。
しかし何といってもハリー細野、さすがに鈴木茂、とリわけ林立夫なわけで
ついつい手が伸びている。
実をいうと荒井由美の「あの日に帰りたい」でのどう考えても譜割りので
きない奇妙なフィルインを耳にしていらい林立夫は私の秘密兵器だったの
だ。
このドラマーは神がかり的に凄いとあちこちで吹聴していたら、のちに本人
の口から、収録中手からすっぽ抜けたスティックがシンバルにはねかえって
タムの上を転がっただけだという驚愕の事実を知らされた。
何事も神格化はほどほどにという例だ。
今回のアルバムは矢野顕子をはじめ豪華な共演陣も魅力的だが、トリオに
よる演奏が思いのほかジャージーで面白かった。
コールマン・ホーキンスがフレッチャー・ヘンダーソン楽団在籍当時に作った
「Queer Notions」なんて珍曲を披露している。
衛星放送をみる限り、久保田麻琴、小坂忠らを従えたライブはリトル・フィート
をもっとゆるゆるにした感じだった。
可笑しかったのはゲスト出演した忌野清志郎で、元気いっぱいに登場したまで
は良かったが、客層の違いに明らかに狼狽している様子だった。
最後までノリきれないまま控え室に戻った清志郎は「ステージに上がったら
ティンパンのあまりの音の小ささに驚いた」と語っていた。
三人のはったりの無い確かな演奏力を裏付けるコメントだったと思う。

(H13.4.9)


『集団投射』 高柳昌行・阿部薫(DIW−424)

こいつはヤバイ。
激ヤバだ。
「解体的交感」に準ずる出来だろうとの俺の予想は見事に
覆された。
こんな演奏はほかに聴いた事がない。
この一年間はこれだけで生きていける!
マジでそう思った。
おのが思想と哲学のすべてをかけ、尋常ならざるスピードで
ぶつかりあい、火花を散らしてこすれあい削りあう高柳のギ
ターと阿部のアルト。
この日かくも凄まじい精錬過程を目の当たりにした聴衆の
その後の人生はどうなったことだろう。
ところで俺がこのCDを入手した店ではこのCDとルー・リード
の問題作「メタル・マシーン・ミュージック」が同じコーナーに並
べてあった。
なかなか面白い販売戦略ではあるが、言うまでもなく衝撃
の度合いは「集団投射」のほうがケタはずれに大きい。
精神にヤスリをかけるかのような金属音が空間を埋め尽く
し、時に悲しく時に美しく聴く者の魂を揺さぶる。
そうして演奏が終わり、半ば呆けたように裏ジャケットを見つ
めていると漆黒の雲間から打ちのめされた自分の顔が浮か
んでくる。
そういうしかけになっている。
(H13.3.7)

 


『ROMANTICALLY HELPLESS』Holly Cole (Alert Music6152-81037-2)   ついにやってしまった。 何をかって? 壁から電源ボックスまで部屋中のコンセントをロジウムメッキに取り替え たのだ。 初めはそんなつもりじゃなかったけど、試しに一箇所替えてみて激変した ので慌てて追加注文してしまった。 ロジウムメッキは通信衛星にもほどこされているなんて話を聞かされても、 何がどう凄いのかよ〜わからんが、この変化を知れば誰でもなるほどたいし たメッキじゃわいと感心する筈だ。 第一うちにこれを持ってきた音楽舎の吉田さんが一番感心していた。 オーディオアクセサリー的にいえば「音の濁りが取れ透明感が増し、音楽に 静寂感が出るのでいくらボリュームを上げてもうるさくないし、生楽器はよ り自然に近い響きとなって、余韻もスーッと伸びていく。」といったところだ ろうが、ようするに大変心地良い音になったというわけだ。 マイルスからルー・リード、ミケランジェリまでもう何を聴いても楽しいが、 録音の良いものならなお楽しい。 ホリー・コールの『ロマンティカリー・ヘルプレス』は冒頭のベース一発で 買いを決めたのだが、ロジウムにしてからは中域と低域がパンッと離れ、より ズシーンとくるようになった。 レイドバックしたドラムを中心にボトムがしっかりしていてゆったりと聴ける 作品だ。 シナトラのおハコ「フライ・ウィズ・ミー」も捨て難いがやはり一曲目の「ワン・ リトル・ポニー」がおススメ。 ドブロギターのメタリックな響きを堪能して頂きたい。 それから昨今のオーディオグレードやホスピタルグレードがみんなそうなのか どうかわからないが、このフルテックのコンセントは抜き差しが非常に固く、 一旦くわえ込んだらテコでも外れようとしない。 これなら振動で知らず知らずのうちにプラグが浮いてくることも無さそうだ。 音を良くする上では重要なファクターなのかもしれない。 さ〜てと次は何を聴こう。 パトリシア・バーバーの『ナイトクラブ』の評判がいいようだ。 我が家ではどんな風に鳴ってくれるのだろう。 とても楽しみだ。 (H13.2.8)

 



『QUIEREME MUCHO』 STEVE KUHN(venus tkcv-35520)

アナログだ、24Kだ、はてはスーパーCDだと、同一音源に手を加えて再利用する ビーナスの執念にはまったくもって頭が下がる。 だけどどれを聴いてもピアノの音は一緒じゃないかとの恨みは残る。 もてはやすのを早いのがオーディオマニアなら飽きるのが早いのもオ ―ディオマニアというもの。 せっかくコキ〜ンズズ〜ンバシャ〜ンのレーベルカラーを確立したのだから、 そのコキ〜ンズズ〜ンバシャ〜ンに固執するあまりマンネリズに陥入るような 事態だけは避けてほしい。 そんな中スティ−ブ・キュ−ンの「キエレメ・ムーチョ」は気持よく聴けた。 これなんかは録音の優秀さ云々よりも演奏内容で充分楽しめる作品だった。 ECM時代の高踏的でピ〜ンと張りつめたピアノを弾くキューンも好きだけど、 こんな風にニコニコ顔でラテンナンバーを料理するキューンも悪くない。 それからついでで申し訳ないけれどアル・フォスターの太鼓。 つくづく「変さ」を増して来ていると思う。 試しに4曲目の25秒から31秒にかけてのスネアを聴いて欲しい。 こんな不思議なタイミングで叩けるのはアル・フォスターぐらいだろう。 去年はず〜っと探してた「Motirity」(ECM)と「LIFE´S MAGIC」 (Black hawk)が期せずして手に入り、その度に小躍りして喜んだ。 僕にとっての2000年はスティーブ・キューンについていた一年だったように思う。 (H13.1.8)


『1』The Beatles (EMI7243-5-29325-2-8)

 

駄目だ、もう何もする気が起こらない。
「イエスタデイ」の出だしなんかあまりの生々しさにめまいさえ覚えた。
12弦ギターが奇跡的に美しい「エイトデイズ・ア・ウィーク」、「ペニーレーン」
での低くうなりまくるベース、楽曲の良さは言わずもがな、かててくわえて
リマスタリングが凄すぎるのだ。
クリアーで抜けが良くなった「イエローサブマリン」での
ドラムを聴いていると、そのスケールの大きさにおいて
リンゴ・スターはグレイテフル・デッドのミッキー・ハート
にも比肩しうるドラマーだ!なんて思えてくる。
それにしてもここでのギターの音色は素晴らしい。
リッケンバッカーやエピフォンの銘器が理想的な形で鳴っている。
伸びやかで乾いたトーンは管球式ギターアンプの証し。
その特徴が以前にも増して良くわかるようになったのも
リマスタリングの成果だろう。
「レット・イット・ビー」を聴いていたらポールの歌のバックで何者か
のつぶやく声が左のチャンネルからもれてきた。
他にも えっ!こんな音入ってたっけ?と聴くたびに新たな発見がある。
小節が進むにつれて感極まっていくポールの様子が息を呑むようなリアル
さで胸に迫る「ロング・アンド・ワインディング・ロード」で大団円を迎える
のだが、このCDの本当の凄さはどこを切っても一瞬たりとも気の抜けない
音のスペクタクルに満ち溢れていること。
これだけ良くなるんだったら、いっそすべてのアルバムを
リマスタリングして欲しいものだ。
そうすればビートルズの13枚は間違いなく世界遺産に
登録されるだろう。
あっ!それからオマケのブックレットの大変楽しいです。
                     (H12.11.29)

 


『PURSUANCE : The Music Of John Coltrane』
(WARNER BROS.9362-46209-2)

ついこのあいだ念願の屋移りを果たし、以前に比べちょっとばかし
アンプのボリュームを上げられる環境になった。
そこで久しぶりにケニー・ギャレットを聴こうとこのCDを取り出した
訳なのだが、しょっぱなから右のスピーカーで炸裂するブライアン
・ブレイドのドラムに私の全身はwindows98のように凍りついた。
気づかなかったこんなに凄いドラマーだったなんて。
「ディア・ロード」から「ロニーズ・ラメント」、「アフター・ザ・レイン」に
至る中盤の流れが感動的な作品だったのに私の耳はもうパワフル
で思い切りのいいドラムだけを追っている。
今年のモントルー・ジャズ・フェスティバルではアルトのデビッド・
サンボーン、ピアノのジョー・サンプル、ベースのリチャード・ボナと
カルテットを組んだブライアン・ブレイド。その模様がBSで放送された。
切れのよさではハーリン・ライリーに、しなやかなスティックさばき
ではルイス・ナッシュに一歩譲るものの、骨太で重心の低いドラミン
グに鳥肌が立った。
特筆すべきはそのサイドシンバルの大きさで、トップシンバルと同じ
22インチのものだった。(ように思う)そいつをまさに横っ面をはたく
ようにして叩くのだ。
シンバルは一瞬奇妙な形にたわんでいた。
これで迫力が出ない筈がない。
これはもう一度過去の作品を、今度はボリュームを上げて聴き直す
必要がありそうだ。
ダニーロ・ペレスの新しい吹き込みにも参加しているらしい。
明日さっそく買いに行こう。
目的のある時のレコード漁りは楽しい。
嫌いだったフェローシップも再点検だ。
あー良かったなぁブライアン・ブレイドが居て。
(H12.10.31)



『RENASCENCE』ART PEPPER(GalaxyGCD-4202-21)

「ペッペーはいつだって最高だった。」
そう考える私にはどの時期のペッパーが良いかなんて議論に
は何の興味もない。
実際コンテンポラリーの諸作、とりわけ「ミーツ・ザ・リズム・
セクション」は録音の優秀さと相俟ってターンテーブルに乗
せる機会が多いし、後期に分類されるエルヴィン・ジョーンズ
との共演「VERY RARE」やミルチョ・レヴィエフがまったくも
って素晴らしい「ブルース・フォー・ザ・フィッシャーマン」でも
ペッパーのアルトはふくいくたる香りを放っていて相当聴き
込んだものだ。
真摯なジャズファンならみんなそうでしょう?
この作品も「ああ、後期のペッパーね。」と見逃すには余りにも
惜しい内容で、ここんとこしばらくローテーションの一角を
担ってくれている。
シナノンでのリハビリが明けたサンフランシスコでのライヴ
で地元ミュージシャンとの共演。
しかしこれが悪くない。
一曲目ダメロンの「グッド・ベイト」、ピアノのエド・ケリーがア
ルト・ソロのバックで手を止めるなど、探り合いの状況が続く。
最晩年より音数は少なく、フリークトーンも目立たない。
この時期だけの芯のあるドスの効いたトーンに惚れ惚れする。
療養中はコルトレーンのレコードを繰り返し聴いていたとい
うペッパーだが、巷間伝えられるほど奏法上の影響を私は感じ
ない。
むしろコルトレーンのアドリブに対する真剣なまなざしに感
銘を受けていたのではないだろうか。
それを証拠にこの「ストレート・ライフ」はどうだ。
マイクフォロ−が追いつかないほど身をよじり、激しく上下動
するペッパーの姿に感動を覚えずにいられない。
「チェイシン・ザ・トレーン」ならぬ「チェイシン・ザ・ペッパー」だ。
オハコの「ヒアズ・ザット・レイニーデイ」ではアルトの鳴りは今
ひとつながら、50年代の蝶の舞うような軽やかさとは趣の違
う落ち着いたバラードプレイが堪能できる。
ジャズロックスタイルの「ホワット・ローリー・ライクス」も思い
のほかアーシーだ。
それからこれはまったくの推測だけど、曲の合間に嬌声を上げ
て場の雰囲気を盛り上げているのはローリーではないだろう
か。
もしそうならここでも彼女の内助の功は大である。

(H12.10.8)


『UNISON』SHIN TERAI (AMJ ABCJ-60)

処暑だというのに何たる暑さ。
日が暮れてもなお暑さがねっとりとまとわりついてくる。
そのただでさえ暑いさなか、今夜も管球式アンプに火を灯す。
ジャズなどというこれまた暑苦しい音楽を聴くために。
真空管の中ではヒータがオレンジ色に燃え上がり、熱電子の
飛翔が始まる。
アンプが温まるのを待ってから最近気に入ってるシン・テラ
イのCDを取り出した。
数日前、知人の中古レコード店主が愛聴していたのを無理や
り借り受けてきたものだ。
解説にはアンビエント、テクノ、ジャズの融合とある。
何も考えたくない時、ただただ音の洪水に溺れたい時、以前な
らばINCUSやEMANEMの諸作に頼っていたのだが、近頃
はこうした「フューチャージャズ」の世話になることが多い。
無機質でどこまでも持続する電子音のリズムにもある種の
「うねり」と「ゆらぎ」があり、聴いた後もフリージャズとは異
質の解放感を感じる。
荘厳なオルガンソロに続くビル・ラズウェルの重低音ベース
とバケットヘッドのスペイシーなギターを聴いていると脳内
にエンドルフィンがじわじわと溢れ出す。
波に身をまかせ大海を漂うような感覚に浸っていると、突然
「プシュ!」という大きな音が聞こえ、驚いて椅子からズリ落
ちそうになった。
もうやってられん!とばかりにクーラーが音を上げてしまっ
たようだ。
たちまち部屋の温度が上昇したのだが、アンプの暴走じゃな
くてホッとした。

(H12.8.23)



『YOU BETTER KNOW IT!!!』
LIONEL HAMPTON (MVCJ-19060)

タイトルにびっくりマークが三つも並んでいます。
これは高脂肪・高カロリー・高蛋白の印と見ました。
だけどそんな食べ物に限って美味しいのだから困りもの。
1曲目『リング・デム・ベルズ』大橋巨泉氏が粋人のたしな
みと絶賛するライオネル・ハンプトンのボーカルをフィー
チャー。
なんとハンク・ジョーンズとのデュオ。
ここではハンプトンの「ミスターベン!ビッグベン!」の
掛け声とともに肉汁のしたたる様なゴージャスなテナーを
ご賞味下さい。
でもこれが前菜なのだから先が思いやられます。
続くブルースとシャッフルナンバーでもミルト・ヒントン、
オシー・ジョンソンの快適なリズムに乗ってベン・ウェブス
ターは近年まれにみる好調ぶり。
負けじとクラーク・テリーもハイノートをヒットし、いやが
上にも血中脂質の高まる頃、いよいよメインディッシュの
登場。
本日のオススメは『トリック・オブ・トリート』
元はといえばドラマーとしてデビューし、サッチモに珍重
されたという抜群のリズム感に裏打ちされたハンプトンの
ソロは駘蕩としてしかも隙がなく、凡百のヴィブラフォー
ン奏者では決して味わう事のできない切れ味を備えていま
す。
ニール・ヘフティの名作『キュート』も大変な名演に仕上
がりました。
お口直しにはハンプトンの隠し芸、ピアノの二本指奏法に
よる『ジングルベル』、デザートにはスイートな『蜜の味』
がついた充実のフルコース。
青魚と野菜だけじゃあこんなに精力つきません。
ジョギングは明日からにして、ど〜ですかお客さん!!!

(H12.7.24)


『THEM DIRTY BLUES』
CANNONBALL ADDERLEY QUINTET
(CAPITOL JAZZ 95447)

司会者:じめじめした季節皆様いかがお過ごしですか?
アシスタント:洗濯物が乾かず本当に憂鬱な毎日ですね。
司会者:そこで今回はそんな梅雨空を吹き飛ばすような快
作『ゼム・ダーティ・ブルース』のご紹介です。
論より証拠、まず曲目にご注目下さい。
アシスタント:『ワーク・ソング』に『ダット・デア』、それにサム・
ジョーンズの隠れ名曲『デル・サッサー』まで入っ
てるんですか?
キャノンボールのず太いアルトが今にも聴こえて
きそうです!
司会者:ええそうなんです。
キャノンボールならこれが一番好き!
なんていう方も意外に多いんですよ。
アシスタント:ではご愛用者の声を聞いてみましょう。
女性A:聴き始めてすぐになんて乗りのいいアルトだろう
と思いました。
ベースは魅力的なラインを提供してるし、ヤクザ
なコルネットも最高!
ストレス知らずのエネルギッシュな音楽って感じ
です。
男性B:ピアノをエレガントに鳴らす事にかけては天下一
品のバリー・ハリスとピアノを下品に鳴らす事に
かけて天下一品のボビー・ティモンズが一枚の
CDで聴けるなんて…。もう極楽です。
アシスタント:ほんと凄いですね。でも気になるのはお値段です。
司会者:おまかせ下さい。
今回は従来収録の7曲に加え、今日ご覧の方だけ
特別に2曲の別テイクをお付けして、なんと
1,700円を切った1,690円!1,690円でのご奉仕
です!
会 場:わぁ〜!(どよめきと拍手)
アシスタント:私決めました!
次の再発はいつになるかわかりません。
見つけ次第即GETしちゃいます!
司会者:おねがいします。
ナレーション:なお送料と消費税は別途うけたまわります。

(H12.6.16)


『BODY ACOUSTIC』MICHIEL BORSTLAP
(EMARCY538 976-2)

今年はウェザーリポート結成30周年の年にあたり、各社から
トリビュートものがリリースされたけど、着想の斬新さにおいて
この作品を上回るものはない。
生楽器でウェザーリポートの楽曲を再構築しようという企画も
企画なら、集められたミュージシャンもハン・ベニンクを始め一
筋縄でいかぬ面子ばかり。
平穏無事を期待するほうがおかしい。
透明感がありながらガッツ溢れるピアノ、スネアの乱れ打ちも
鮮やかなドラム、空間を縦横無尽に切り裂くパーカッションの
共演はゾクゾクするほどカッコイイ!
しかし今回一番ウケたのはオーバーハイムベースを擬した
トム・ビークのバスクラリネットだった。
ジャコのトリビュート作でジョー・ザビヌルのシンセをアコーデ
ィオン一本で再現したギル・ゴールドスタインに次ぐアイディア
賞ものだ。
更に最近本邦デビューを果たしたギターのジェシ・ヴァン・ル
ーラーがここではシーケンサー替わりにこき使われておりその
苦労が忍ばれる。
本作のようなトリビュート作品の楽しみ方のひとつにオリジナル
との聴き比べがあるが、ここはボルストラップのウェザーリポート
に対するリスペクトの深さをこそ聴き取りたい。
おまけのマルチメディアトラックにはアムステルダムの有名な
公園で『貴婦人の追跡』をソロ演奏する彼の姿が収録されてい
る。
その真摯な姿に今後の更なる飛躍を願うばかりだ。

(H12.5.24)


『ROUND ABOUT MIDNIGHT』MILES DAVIS (SONY SRGS-4517) 久しぶりに音楽舎の吉田さんから電話が入った。 SACDプレーヤーが入荷したので、我が家のフィリップス (LHH900)と比較試聴しようというのだ。 そのほかにも吉田さんにはある種の腹蔵があったようで約束 の時間より早くやって来た。 プレーヤーをマランツ♯7に接続し、はやる気持ちを抑えてぶ 厚いデジパック仕様のSACD盤『ラウンド・ミッドナイト』 をトレイに乗せた。 次世代の音に対する期待で私の喉はカラカラに渇いていた。 想像を絶するクオリティでマイルス・クインテットが姿を現す のだ、5秒後の私は『あぁ神様!』と叫んでいる事だろう。 大好きな4曲目をセレクトし、スタートボタンを押す。 5秒後に声をあげたのは吉田さんの方だった。 フィリップスを指差し『こっちの勝ちだ』と言ったのだ。 結論から先に言えば期待外れの音だった。 たしかに楽器のまわりのモヤモヤは晴れ、音の輪郭は明瞭さを 増している。 ミュート・トランペットからひり出された音がブースの床にぶ つかり反響する様もよくわかる。 しかしレンジが上に伸びた反面、低域が圧倒的に不足している。 この作品のポール・チェンバースは凄いのだ。 そのランニング・ベースは急な斜面を駈け上がると見せるや反 転、漆黒の谷間に駈け降りていくような躍動感に満ちている。 しかしそれが何と言うか、こう下っ腹に響いて来ないのだ。 『やはりクラッシック向きだったか。』と吉田さんがつぶやく。 吉田さんにはこうなる事がわかっていたのだろう。 美しい音を目指し、極限まで歪み成分を取り除くことはジャズ にとってその原初的な力強さまで薄めてしまう事を。 そのへんを我が家のシステムで確認したかったのだと思う。 皆さんはこのレコードのオリジナル盤をモノのカートリッヂで 聴いた事があるだろうか? 私はとあるお宅でそれを聴き、トランペットの異様なまでの音 圧に総毛起つ思いをした。 俺もいつかは鳴らして見せる!と心に誓った瞬間でもあった。 あれから幾星霜、現在の私が愛聴しているのは現行フォーマッ トの輸入盤CD。 内心忸怩たるものもあるが、これで充分だよなぁ〜と独り言ち ながらスタートボタンを押した。 (H12.4.18)


『THE CHASE IS ON』 CHARLIE ROUSE & PAUL QUINICHETTE (TOCJ-62012) 便宜上バトルものに分類されている作品。 とはいえJATPにおけるフィリップ・フィリップスと イリノイ・ジャケーの大ブロー合戦や森と五木の『ふたり のビッグショー』に見られるような譲らなさ、頑迷さとは まったく無縁の出来なのでご安心下さい。 どちらかといえばシムズ=コーンに近い落ち着いたスイン ガーぶりが満喫できます。 更に今回はステレオ仕様で再発されたためラウズ、クイニ シェットの違いがはっきりとわかるのが嬉しい。 あらためて聴いてみて意外だったのは個性的なトーンで知 られる二人のハーモニーがとてもスムースで美しかった事。 特に四曲目『ラスト・タイム・ フォー・ラブ』や八曲目の『ザ・ シングス・アイ・ラブ』でのテーマ提示部のからみは絶品。 また心浮き立つような『テンダー・トラップ』や気怠くも ゴージャスな『ホエン・ザ・ブルース・カム・オン』を肴にす ればバーボンのすすむこと請け合いです。 でもどうしたことかウィントン・ケリーのピアノにいつも のケリー節が出てこない。 ベツレヘムのレーべルイメージに配慮したのならそれも ご愛嬌かな? でもまぁカッティング職人フレディ・グリーンのギターを 聴くだけでも充分価値のあるアルバムなので自信を持って お薦め致します。 (H12.3.15)

 



『HERE'S TO BEN』 JACINTHA (FIM-XR-020) インド人と中国人のハーフで、母国シンガポールでは女優と レコーディングアーチストをかけもちする才媛ジャシンサの バラードアルバム。 シャーリー・ホーンやカサンドラ・ウィルソンに加え、カレ ン・カーペーンターからの影響を認めている彼女の歌声はや や細めながらなめらかで気品があります。 どの曲も妙にテンションを上げることなく、歌詞を大切にし っとりと歌い上げているところも好感が持てます。 まるで母親の子守り歌のような究極の"癒し系"ボイスと いえるでしょう。 そして今回その歌の魅力をあます所なくとらえたのがヴィン テージものの管球式コンデンサーマイク、ノイマンM49。 これが大当り。 トランジスターの金属的で冷たい響きに比べ音にまろやかさと 透明感があり、より肉声に近い心地好さが得られています。 テディ・エドワース、ローレンス・マラブル、ケイ赤城ら歴戦の つわもの達も肩の力を抜いたリラックスした演奏でジャシン サを盛り立てます。 次はこの人のボサノヴァが聴いてみたいなぁ。 未聴の方は是非ジャズ喫茶『エミリー』でリクエストしてみ てください。 本当に聴くたびにどんどん好きになっていくアルバムです。 (H12.2.11)

 



『THE MAGIC OF JU-JU』ARCHIE SHEPP
(IMPULSE AS-9154)

時は1999年の大晦日、私はとあるレコード屋の在庫一掃
セール会場にいた。
アベックも多く、活気に満ち溢れたロック、ポップス系のブー
スとは対照的にジャズの売り場はかなりの勢いでたそがれて
いた。
そのひたぶるにうら悲しい店の片隅で、私は久しぶりに髑髏
のジャケットと再会した。
それは無残に掘り返された『掘り出し物コーナー』のエサ箱
の底から、照れたような目つきでこちらを見上げていた。
顔じゅうに施されたサイケな花模様が一層の哀れを誘い、し
ばらく見つめ合ったのち買うことに決めた。
その時の体調がこうした音楽を欲していたのだろう。
時々『オージー・イン・リズム』だの『ホリデイ・フォー・スキ
ンズ』だのといったリズムの饗宴ものが無性に聴きたくなる
クセが私にはあるのだ。
かくして日本中の家庭が紅白を見ながら団欒を過ごす夜、我
家ではパーカッションが織り成す妖術的なリズムに乗ってシ
ェップのテナーが熱く咆哮するのであった。
思い起こせば20年ほど前、初めてこいつを聴いた時、ハイチ
かどこかのジャングルでうっかり黒魔術の現場に出くわした
みたいに面くらったものだった。
しかし今は率先して踊りの輪に参加しているのだから慣れと
いうのは恐ろしい。
多くのフリージャズの諸作と同様、この作品も社会に対する
闘いの記録として語り継がれてきた。
しかし演奏する側にとってみれば心的、感情的なものより肉
体的な制約のほうが作品を左右する事が多いので、単に当時
のシェプの身体がこうした音楽を欲していただけだなのだと
思えば造作ない。
時は経ち、あのおどろおどろしいジャケット、土臭いテナー、
反復リズムのループ感を今の世代は面白いと感じるのだろう
か?
実に興味がある。
興味があるといえばあの夜ついでに買ったのが市川美和子の
CDだったのだが、その時の私には一体どんな肉体的な制約
があったのだろうか?
我ながら実に興味がある。 (H12.1.7)


『EVOLUTION』JOHN LEWIS (AMCY-1252 Atlantic)

いい曲書くけど、ピアノはつまらないというのがジョン・ル
イスに対する大方の見方だろう。
私ももうかなり以前から『ミラノ』という曲に熱をあげて
いて、初演を収録したプレステッジ盤なんかはこの曲ばっ
かり聴き倒したものだけど、ルイスのピアノにはこれとい
った感慨はわかなかった。
特にソロでの演奏はたよりなく、しまらないものが多いよ
うな気がする。
どちらかといえば他の誰かをインスパイアすることで持ち
味を発揮するタイプなのだろう。
彼が加わっただけでどんな演奏にも不思議なコクが出てし
まうのだけは否定できない事実だからね。
かつての名曲の変奏曲集(ヴァリエーション)といった趣きのこの作
品に、そのコクがぎゅっと濃縮されているのでは、と期待し
たけれど、今回もその淡泊ぶりは相変わらずだった。
広いスタジオの片隅でブツブツと何ごとかをつぶやきなが
らピアノの響きを確かめているジョン・ルイス。
テイタムやバッハまで記憶の断片が突如現われては消え入
るそのプレイがHDCDによって冴え冴えと表現される。
本作は三部作の一作目で、ここで演奏された曲が次回はト
リオで、そして最後はオーケストラと編成を変えていくら
しい。
今回のはほんのスケッチ程度といったところか。
商売上手なルイスはん、こうなったら最後までその"進化"
とやらに付き合わせてもらいまっせ!

(H11.11.26)


『NEWPORT1958』
MAHALIA JACKSON(SONY SRCS9210)

今巷ではゴスペルが静かなブームを呼んでいる。
ヒーリングミュージックとしても脚光を浴びているらしい。
でも最近のゴスペルはとても垢抜けしている。
なかにはチョッパーベースが飛び出すものさえある。
ファイブ・ブラインド・ボーイズやステープルシンガーズし
か知らない耳にはよく出来たブラコンにしか聴こえないだ
ろう。
ゴスペルはとっくの昔に教会から飛び出していたのね!
マスクワイアー(大編成の合唱団)の録音も見事なものが
多く、その迫力にはクリスチャンでない私でさえ鳥肌ものだ。
こうしたブームのさなかマヘリア・ジャクソンの代表作が
ハイビットCDで登場した。
映画『真夏の夜のジャズ』で有名になったニューポートジ
ャズフェスティバルでの実況録音盤だ。
映画をご覧になった方ならピアノとオルガンをバックにし
たシンプルなステージを覚えておいででしょう。
今回のマスタリングによりマヘリアの慈母の如き優しい歌
声とそれに熱狂し、泣き叫び、失禁する聴衆たちの様子が一
層リアルに蘇った。
深夜をまわり予定時間を大幅に過ぎても続くアンコール。
収まらない歓声に『まるでスターになった気分』とはにか
むマヘリア。
やがて終演を迎える頃そぼ降る雨は止み、マヘリアが去った
ステージを呆然と見つめる聴衆の心には確かな希望の火が
灯っていた。
ゴスペルは人々に魂の自由を訴えてきた音楽だ。
リズムやアレンジが変わっても、その"癒し"のメッセージ
が変わる事はないだろう。
(H11.10.22)


『DAVE BRUBECK IN BERLIN』
DAVE BRUBECK(SME SRCS9530)

精度の高いリズムとヒプノティックな旋律で多くの人々を
かどわかしてきたデイブ・ブルーベック。
冷たいコンクリートの壁を思わせるシュールなジャケット
の本作は、いつになくアグレッシブでハードボイルドなブ
ルーベックが味わえる点で、他のライブ・アルバムとは一線
を画すものとなっています。
きっと東西冷戦下のベルリンという街の雰囲気がそうさせ
たのでしょう。
コンサートは『セントルイス・ブルース』でスタートします。
拍子が裏返ったようなラグタイム風ピアノに観衆からは早
くも大歓声が巻き起こります。
続く二曲目は名作『日本の印象』から『琴ソング』。
ポール・デスモンドの愛したこのマイナーブルースをブル
ーベックはデスモンド脱退後もずっとレパートリーに加え
ていました。
日本風スケールを用いた幽艶なアルトソロの行方を誰もが
かたずを呑んで見守っています。
エリントンの『A列車で行こう』も『セントルイス〜』同
様イントロとリフ以外は見事に換骨奪胎されています。
特に4分25秒目あたりから徐々にヒートアップしていく
ブルーベックのピアノはまるで暗黒街のヒーローみたいに
格好いい。
それにしてもここでの四人の異常な一体感は空恐ろしいば
かりです。
そしてその興奮さめやらぬフィルハーモニック・ホールに
ジョー・モレロのドラムが響き渡ります。
『テイク・ファイブ』。
ブルーベックのソロは前衛芸術の趣きさえ漂わせて素晴ら
しく、ベルリン市民の惜しみない拍手と歓声はいつまでも
鳴り止みません。

(H11.9.24)

『WIND OF NAM GANG』
KIM SONG GOO (PANDRA RECORD SAMP-09514)

この夏いちばんはまったアルバムがこれ。
タイトルチューンの『ウィンド・オブ・南江』はマッコイ
タイナーの『フライ・ウィズ・ザ・ウィンド』を彷彿とさせ
る雄大でスピード感溢れるナンバー。
ただしあちらがアルプスの尾根を渡る風なら、こちらは
アジア・モンスーン地帯の熱風か。
東原力哉の重戦車のようにヘヴィでスケールの大きなド
ラミングがひたすら気持ちいい。
勇壮な曲調に思わず踊ってしまったのは『ファザーラン
ド・カヤ』。
今にも御輿に乗ったサブちゃんが登場しそうだ。
全曲"慶州""オモニ(母)"など韓国ゆかりのタイトルが
つけられているが演奏に過剰な民族意識や土着性は持ち
込まれていない。
そんなところにもクラッシックの素養を持ち、音楽以外の
学術にも傾倒してきた金成亀の知性が感じられる。
板橋文夫のピアノ、李廷植、荒崎英一郎のテナー、田村夏樹
のトランペットもとことん熱くメロディアスだ。
韓国の打楽器ケンガリが隠し味としてこんなにも効果的に
使われた例を他に知らない。
そして本編のもうひとつのハイライトは古谷充のプレイ。
丁寧に紡ぎ出される旋律が胸にしみる。
洒脱で都会的な実にいいアルトだと思う。
(H11.8.25)


『NOT TWO,NOT ONE』
PAUL BLEY , GARY PEACOCK , PAUL MOTIAN (ECM1670)

"一緒に演奏しているつもりはない。"
日本で行われたクリニックの席上、トリオでの演奏はソロ
の時と心構えに違いはあるのかと質問されたブレイはそう
答えた。
ミンガスに見出されてデビューし、様々なミュージシャン
との交流の果てに辿り着いたその演奏スタイルは相互依存
や相互補完といったピアノ・トリオの約束事をことごとく
無視した全く独自のものとなった。
35年振りに共演するモチアンとピーコックにしても自己
完結したブレイの世界を尊重し、いたずらに間合いを詰め
ていくような真似はしない。
随所に個人技をちりばめながら三人だけの時間が贅沢に過
ぎていく。
インテレクチュアルな雰囲気が支配的ではあるけれど、低
い唸り声とともに繰り出されるブレイの左手が時に鋭い怒
気を孕らむ場面もあり、この意外なほどの熱演が作品全体
の聴きどころとなっている。
まさに函が鳴っている感じの重量感溢れるピアノ(ヴェーゼン
ドルファーインペリアル)、スネアの深い響きとバスドラムから蹴り
出される空気が余裕たっぷりに再現出来ればひとまず装置
に問題はない。
あとはじっくり腰を据え、ブレイの「今」に聴き惚れると
しよう。
(H.11.7.15)



『TAC TIC』MOTOHIKO HINO SEXTET
(ewe EWCD-0007)

学生時代アマチュアバンドでドラムスを担当していた私は
当時パール社から発売されていた日野元彦モデルのスティ
ックを愛用していました。
最初から日野元彦という名前を知っていた訳ではなく、実
際に演奏を聴いたのもずっと後のことでしたが、楽器屋で
初めて手にした瞬間から手のひらに吸い付くような感触を
おぼえ、爾来他のメーカーのスティックが使えなくなりま
した。
グレッチやファイブスなどの外国製品に比べ全長がやや短
かく軽かったのも助かりました。
シンバルレガートの際返りが速いため長時間使用していて
も手首への負担が少なく、女性ドラマーにも重宝されてい
たようです。
体重55キロ、日本人の中でも華奢な部類に入る日野自身
体格面でのハンディは認めていた様ですが、スカスカと決
まるリムショットは聴いていて最高に気持ち良く、また
チューニングの美しさも他のドラマーにはない彼の特徴だ
ったと思います。
晩年は若い才能を一人でも多く紹介することに情熱を注ぎ
『CLUB TOKO』を主宰、この作品はその活動の成果
を世に問うものとなりました。
ここにはジャズ・メッセンジャースを彷彿とさせるファン
キーなナンバーも収録されていますが、日野のドラミング
はブレイキーのそれのように扇動的にならず、若いフロン
ト陣に適切なヒントを与えている感じです。
抜けの良さで定評のあるパールのドラムをうまくとらえた
録音も出色の出来。
日野自身のタップダンスとホーンの掛け合いまで飛び出す
楽しいアルバムです。
( H.11.6.9 )



『LIVE AT THE IT CLUB』
THELONIOUS MONK(SONY SRCS8736〜7)

あまねく崇敬を集めたモンク寺院は昭和39年頃にピークを
迎えていたように思う。
その仁王門には左にラリー・ゲイル、右にベン・ライリーが揃い
踏みし、あたりを睥睨していた。
時折ラリー・ゲイルが持ち前のパワーで梵鐘を揺さぶれば、ベン
・ライリーの繊細なブラッシュワークで創り上げられた石庭は観る
者を魅了してやまなかった。
まさに"あ・うん"のコンビネーションだった。
門をくぐると境内の左手には事務所があり、そこにはひっきりなし
に鳴る電話の対応に追われるチャーリー・ラウズの姿があった。
彼はここで檀家や信徒の世話を焼き、全国から集まる拝観者のた
めに寺の由緒正しさを説明したりして諸事全般を取り仕切っていた。
「この仕事がまかせられるのは、コルトレーンかロリンズ、でなければ
お前だ。」(ローラン・デ・ウィルト著『セロニアス・モンク』より)とまで住職に言われ
ているのだ、意気に感じないはずはなかった。
本堂の奥からは、自分の信念を貫く事の大切さ、失敗を恐れずチャレ
ンジする事の尊さを説く住職の声がきこえてくる。
かつてその教義に深く帰依し、大成功をおさめた者がいた。ジョン・コル
トレーンだ。
彼は彼の吹く長ったらしいソロを上司(マイルス)に咎められ、悩み抜い
たあげくここに教えを請いに来ていたのだった。
住職から自分の演奏に自信を持つよう諭され、テナーで和音を吹くという
奥義まで伝授されたコルトレーン。
その後の活躍はご案内のとおりだ。
そして今、門前の小僧スティーブ・レイシー、ミーシャ・メンゲルベルク、
スフィアを再結成したべン・ライリーらによってその衣鉢は継がれ、昔日
の偉容をよすがに今は亡き住職の魂を慰め続けている。
(H.11.4.25)


『BILL PLAYS BUD』
BILL CUNLIFFE (NAXOS JAZZ86024-2)

『EXILE AND DISCOVERY』
DONNY McCASLIN (同上86014-2)

『JOURNEY TOGETHER』
DAVID SILLS (同上86023-2)

マイク・ノック、ロン・マクルーアなど、これでもかとばか
りに地味な顔ぶれが並んだNAXOSJAZZ。
初期の作品はいわゆる佳作の域を脱していなかったけれど、
ここにきて快作を連発し始めた。
まずはピアニスト、ビル・カンリフのバド・パウエル集。
マニアックな選曲が購買心をくすぐる。
数曲でパーカッションも入るがラテン風味は希薄。
『ウンポコロコ』もストレートなリズムで一気呵成に駆け抜
ける。
ジョー・ラバーバラ、ビリー・ドラモンドなどリズムセクシ
ョンの出来の良さが今シーズンのNAXOS好調につながっ
ているようだ。
お次はジョニー・グリフィン系のテナー、ダニー・マッカー
スリンの登場。
フレーズの端を重たそうに持ち上げるところなどはジョシュ
ア・レッドマンに似てなくもないが、そのトーンは独特の臭
気を放つ。
『イスファハン』での悠々たる吹きっぷりは実に見事。
サキソフォニストではなくテナーマンと呼びたい逸材だ。
そして活況を呈する若手テナー界にもう一人の男が名乗りを
あげる。
その名はデビッド・シルズ。
冒頭のトリスターノ作『西32丁目317番地』で勝負あり!
これがかかったとたんお店にいたお客全員が頭をあげた。
ジャケットを手に取るもの、 タイトルをメモるものと大わら
わ。
ジャズ喫茶の名盤がまた一枚誕生した。
エンジニアにデビッド・ベイカーを起用するなど、臨場感あふ
れる録音も魅力的なのだが、三枚買っても高音質CD一枚分の
お値段というのがなにより嬉しい。
新譜が出るのが楽しみなレーベルというのも久しぶりだし、
NAXOS JAZZの今後の大化けに期待したい。

(H11.3.25)

『TIMELESS TALES』
JOSHUA REDMAN(WARNER BROS.WPCR-2059)

まずは6曲目『春の如く』を聴いて欲しい。
コンピングのタイミングからベースの減衰時間までも考慮に
入れた入念なリハーサルの成果なのだろう、演奏の"点と線"
がバッチリと合っている。
打ち上げでのビールがさぞかし美味かったんじゃないかな?
ガーシュイン、ディラン、プリンスまでもがジョシュアのプ
ロデュースによって次々と新鮮な息吹を与えられていくさま
は実に感動的。
ロック世代の、というよりもジャンルにとらわれず生活感に
近い演奏が出来る世代の清々しさを感じさせる。
この屈託の無さに嫉妬する向きも多いことだろう。
でも一体世の中にジャズだけを聴いているジャズファンって
いるのだろうか?
SJ誌で『私の隠れ愛聴盤披露!』なんて特集したら結構面
白いかも。
私だったらさしずめレーナード・スキナードのファーストア
ルバムってとこかな。
"チューズデイズ・ゴーン"なんて酒飲んで聴いてると涙が
出てくるもんね。
ハンコックの"ニュー・スタンダード"では、インスピレー
ションを得んと、目を閉じてじっと共演者に聴き入るハービ
ーの姿がまず浮かんできたけれどジョシュアの方は互いにア
イコンタクトを怠らず常に目指すものを確認しあっているチ
ームの姿が浮かんできた。
久しぶりに風通しのいいHi-Fi感を味わえる好録音盤で
ありました。
(H11.2.26)


『TRIO MUSIC』
C・COREA M・VITOUS R・HAYNES(ECM1232/32)

私の贔屓にしているおでん屋の女将さんは大のドラム好き。
どのくらいドラム好きかというとウェストコーストの某有
名ドラマーの名前を屋号にしてしまうほどのドラム好きだ。
今のお気に入りはルイス・ナッシュで、トミフラと共演した
BNのライブ盤なんぞは、もうピアノがまったく耳に入らな
いほど素晴らしいという。
斯く言う私もドラム好きにかけては人後に落ちないつもりな
のでそこらあたりの気持ちは良くわかる。
付かず離れず、タイトでセンシティブなドラミングほどジャ
ズを聴いていて心地好いものはない。
だからロイ・ヘインズなんかとてもいい。
クッションが効いたソファのような安らぎをおぼえる。
そんなロイ・ヘインズが飛びっ切りの快演を聴かせるのがこ
の二枚組だ。
名盤『ナウ・ヒー・シング〜』の再会セッションなのだが
圧巻は一枚目の大半を占める"トリオ・インプロビゼーション"。
簡単な打合せこそあっただろうが、譜面さえ存在しない筈な
のに、このヘインズの反応の速さはどうだ!
強烈なリムショットはまるでコリア、ヴィトウスの次の一手
をすべて予期して打たれた布石のように響いている。
レスター・ヤングからコルトレーンまで幅広いキャリアを誇
るヘインズならではの読みとふところの深さだ。
ルイス・ナッシュにも是非こんなドラマーに成長してもらい
たい。
それにしてもこの三人、また一緒に演ってくれないかねぇ。

ハロー、チック
"オリジン"に飽きたら思い出してね
あのトリオ。
(H11.1.25)



『PIANO、BASSI OGTROMMA』
TRIO OLAFS STEPHENSEN(SKIFAN SCD139)

今回はアイスランドのピアノ・トリオなのだ。
アイスランドは島の北端が北極圏にかかる人口26万の小
さな国なのだ。
しかしアイスのランドとは名ばかりで国土の11%が溶岩
におおわれた世界でも有数の火山活動国だ。
今なお島のあちらこちらの裂け目からドクドクとマグマが
噴き出しているらしい。
おかげで世界一熱い温泉がいつでも湧いているというから
風呂好きにはこたえられない。
ちなみに人口あたりのインターネット普及率も世界一とか。
受け売りはこのくらいにしてこのトリオ、国家規模を反映
してかピアノはアップライト、ドラムもバスドラ抜きとい
うコンパクトさ。
その演奏は粗削りながらメロディとハーモニーのセンスが
至極まっとうで外連(けれん)みが無い。
キータッチにも意外に粘りがあり、冷えた身体に流し込む
ホットウィスキーのようにじんわり効いてくる。
ハンガリーの『トリオ・アコースティック』の二匹目のド
ジョウを見つけた感じ。
北欧系哀愁のオリジナル・チューンもいいし、何て読むの
かまったくわからんかった七曲目は“サンタが街にやって
くる”だった。
そういえば昔タモリがオールナイトニッポンで絶賛してい
た『メゾフォルテ』というバンドもアイスランドの出身だ
ったし、小さいながら音楽レベルの高い国なのかもしれな
い。
1994年の作品だが録音はナチュラルで飽きがこない。
氷の国からはるばる届いたクリスマスプレゼント、部屋を
暖かくして聴いてみて下さい。
(H10.12.3)


『GONE,JUST LIKE A TRAIN』BILL FRISELL
(NONESUCH WPCR5587)

ビル・フリゼールを聴くたびにジェフ・ベックのことを思い出す。
トーンの設定やサスティーン、ハーモニックスの使い方といった奏法上
の類似点以上に、どちらのギタリストからも「歌」に対する憧れを感じる
からだ。
ロッド・スチュアートをもってしても成し遂げられなかった完全な「歌」
への欲求は、ベックを遂に全編インストゥルメンタルの表現世界に向わ
せたが、その作品のすべては肉声を強くイメージさせるものだった。
ビルについてもギターで歌うことにどれくらいの意味を感じているかは
定かでないが、人の声を真似するために生まれてきたこの楽器をほとん
ど曲折を経ずして、自然に自分のなかに取り込んでいると思う。
今回の作品も本人は知ってか知らずか、聴くものに「歌」を意識させる
出来となっている。
百戦錬磨のセッションドラマーで歌伴において抜群の冴えを見せる名手
ジム・ケルトナーの起用もその傾向に油を注いでいるようだ。
ほとんどメロディにからまないレイド・バックしたリズムセクションに
乗ったビルのギターは秋空を流れていく雲のように変幻自在だ。
そしてこれもいつものことではあるが、『未だ見ぬ未来を思い起こさせる
ような』曲作りも相変わらずで、これから先に出逢う人や住むことになる
街の風景が心に浮かんでくるようでなんとも不思議な気分にさせられる。
アルバムタイトルのとおり、列車に乗って消えていったビルが未来の国
から手招きしているのかもしれない。




『CANDY』LEE MORGAN
(TOCJ−9012)
『BASS ON TOP』PAUL CHAMBERS
(TOCJ−9014)

『RVG自身による驚異の24bitデジタル・リマスタリング』との
惹句に心乱されないジャズファンはいないはず。
早速小生買ってまいりやした。
まずはS・クラーク畢生の名演と信じて疑わない『キャンディ』から。
いい薬(ヤク)でも手に入れたのか四人共もう快演につぐ快演の連続!
モニターから流れるプレイバックに関係者全員ニコニコ顔だったのでは
ないか。
ホーンライクなピアノは是非管楽器に想定して聴いてみて下さい。
あなただけにそっとお教えするS・クラーク鑑賞法です。
お次は『ベース・オン・トップ』。
おおっこれはまた上品なチェンバース!
人口に膾炙したアルコプレイですが、弦と弓の細かい震えがこんなにも
ビビットに再現されたのは今回が初めて。
当時普及していた安価なポータブルプレーヤーでも迫力のあるサウンド
が引き出せるようカッティングレベルが工夫してあったBNのレコード
を、A・ライオンの想像を絶する音質と音圧で愛聴してきた日本のジャ
ズ喫茶族にとって、この繊細ともとれるRVGのマスターリングは新鮮
な驚きをもって受け止められるのではないでしょうか。
A・ライオンの情熱とRVGの技術者魂が、時にぶつかりあい、時に融
合しあって産まれたBNサウンドは、遠い異国の地日本で長い時間をか
けて愛され磨きあげられて伝説となりました。
だとすれば我々も先達に倣い、CD時代におけるBNサウンドを磨いて
ゆかねばなりません。
新たな伝説の萌芽を今我々は手に入れたのですから。



『TURN OUT THE STARS』The final village vanguard recordings June 1980
BILL EVANS(WARNER BROS. 9 45925-2六枚組)

数あるヴィレッジヴァンガードのライブのなかでは「ワルツ・フォー・デビィ」
と「サンデー・アット・ザ〜」が有名ですが、 こっちも良いですよ。
あっちは飲んだワインが気道に入ってむせている女やら、料理がおそい!
と何度も催促のベルを鳴らすカーディーラー、先週の釣果でも自慢して
いるのかかなりメートルを上げているおっさんら有象無象に辟易したエバ
ンスが、達観とも諦観ともつかぬ心境でピアノに向かっていたら、却っ
て演奏に緊張感が生まれてしまったという作品ですね。
お客の会話や食器の触れあう音、グラスの氷がはぜる音、跳ね扉が軋む
音、そして時折スコット・ラファロの足元から立ち昇る『ゴッー』とい
う地下鉄の音など、演奏中のそうしたノイズにも敏感に反応してしまう
演奏家の悲しい性(さが)が垣間見られ興味深い内容となっています。
さてこっちですが「またエバンス!今度は本当にラストなのか?」「この
面子ならパリ・コンサート持ってりゃ充分!」とゴーマンかましていた私。
反省致しました。
いや〜レコードは聴いてみないとわからんですねぇ。
こっちもあっちとは大きく異なる緊張感に彩られております。
あれから19年後、股肱とたのむメンバーを得て、勝手知ったるヴィレッ
ジヴァンガードのステージなのですが、病膏肓(こうこう)に至ったエ
バンスに残された時間はあとわずかでした。
愛奏曲のすべてがせきたてられる様に疾走してゆきます。
「時間が無い! 速く! マークもっと速く!」
弾き慣れたメロディをつむぐその両手は異様にむくんでいたといいます。
ベーシストのマーク・ジョンソンは後年インタビューにこたえ、かつて
は繊細で優美さをも湛えていたであろうピアニストの指先を見つめてい
ると「胸のつまる思いだった。」と述懐しております。
なめらかだったタッチは姿を変え、まるでバド・パウエルの様に「ガイン」
「グワイン」と渾身の力をこめて振り降ろされる左手が本アルバム中 最大
の聴きどころでしょう。
「六枚組み?う〜んちょっとなぁ…。」という向きにはダイジェスト盤を
どうぞ!
でも聴いたら絶対欲しくなりますよ、この六枚組。



『AUTAMN IN NEW YORK』TAL FARLOW(POCJ−2591)

モダンジャズのファンで私のかつての上司はジャズギターのことを「音が小さくてつま らん。」とこぼしておりました。
「はあ、そういえばそうですねぇ〜。」と間の抜けた答えで、お茶をにごしておきましたが、 ではジャズギターの魅力は奈辺にあるのでしょうか。
ギター好きの私にとっちゃあそれはシンプルで力強い響きそのものにあります。
最近はエフェクターで貧弱なピッキングをごまかし、身元不明になるまで歪ませたギター が蔓延しておりますがあれはいただけません。
やはりギブソンか何かのフルアコを、こう少し角度をつけてバチーッとピッキングした時に 出る腰のある音、あれがいいんですよね!
あれこそギター本来の音なんです。
ピッキングも正確に出来んうちからエフェクターなんかにたよっちゃいかんっちゅ〜の〜! そこいくと今回24bitで初登場の本盤なんぞは、そんなギターの魅力満載で、ピックと弦 がこすれる“ゾリッ”という音まで生々しく、ここんとこ毎日聴いてはニンマリしています。 ジェリー・ウィギンズ、レイ・ブラウン、シェリー・マンの急造スリーバックシステムも充分機能 し、低い方のE弦一本でドリブル突破をはかるこのワントップに決定力不足の心配はご無用! 泉の如く湧き出るフレーズもそのピッキングの強靭さゆえに一音一音の粒立ちがよく、タル らしい躍動感に満ち満ちています。
ロックギタリストに比べ音が小さくとも、ブルースギタリストに比べブルージーさに欠けるとも、 サンタナに比べ泣きが足らなくとも、ジャズギターを聴く悦びここに極まれり!


『NIGHTINGALE』 GEORGE ADAMS
(Somethin'else TOCJ-8027)

子供の頃よく連れて行かれた床屋さんには有線放送がひいて あって、サム・テイラーだかシル・オースチンだかのテナー による“歌のない歌謡曲”が流れておりました。
怪しくも退廃的な音色(ねいろ)が子供心にもたいへん淫靡 なものに感じられ、密かに興奮していたことを思い出します。
ところであの名曲『夜霧よ今夜もありがとう』でベン・ウェ ブスターを彷彿とさせる渋いサブトーンを聴かせるテナーは 一体誰なのでしょうか?
気になるなぁ〜。知ってる人は是非ご一報下さい!
後年本格的なジャズアルバムを作ってしまうほどの裕次郎ですから結構有名な人を起用してたりして…。
さてジョージ・アダムスですが、盟友ドン・プーレンと組んで欧州のレーベルに残した諸作には、ノリの良いアップテン
ポなナンバーにはさまれるようにしてソウルフルでメロディアスな曲が収録されております。
なかでもタイムレス盤『シティ・ゲイツ』の一曲、黒人霊歌『誰にもわからぬ私の悩み』ではコルトレーンをはるかに凌ぐ圧倒的なスケールの慈しみと包容力に深い感銘をおぼえたものでした。
こんな凄い演奏をやってしまったらあとは死ぬだけでしょう。
なのにサムシンエルスときたら、「あんなのまたやってよ〜ねっ!お願い!」とアルバム二枚分も吹き込ませたのでした。
本盤と続編の『アメリカ』です。
やはり早死にしました。
ともあれポップスやディズニーの曲を、メロディを崩さずストレートに吹ききるという、ジャズで最も危険で、ある意味最も革新的な演奏がここでもたっぷり堪能できます。
サイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』など一歩間違えれば床屋のBGMに陥ってしまうところをグッと押しとどめているのは、本当に演りたい曲を演っているという気持
ちの盛り上がりが、オーバーアクションにならず素直にサックスを通して伝わってくるからでしょう。
おさえた表現のなかにも、泣き崩れる寸前の唇のわななきが感じられるよう、さぁシステムの調整を!

『ERIK SATIE』 JACQUE LOUSSIER TRIO
(TELARC:CD−83431輸入盤)

チャートなんかみてると結構売れてるのに、シリアスジャズのファンからは完全に
等閑視され、ジャズのコーナーに置くのか、クラッシックのコーナーに置くのか
CD屋のアルバイトを困らせているジャック・ルーシェ氏。
その日は他に欲しいのもなかったし、SJ誌の特集記事を読んでたせいもあって
初めて試聴してみたのね、魔が差したというか。
「うげっ!」ヘッドホーンをしてたので定かでないですが、試聴コーナーに響く
ほど声をあげたかもしれません。
今も耳朶に残るその響き、何かの間違いかもしれないとリピートボタンを押して
みます。
もう一度、もう一度、もうどうにも止まりません。
故障の原因となりますのでゆっくり操作してくださいってシールが貼ってあった
けど慌てていた私は震える指先で何度も何度もリピートボタンを押し続けました。
そのベースの音たるや、もの凄いこともの凄いこと!!
早速買って帰りましたよ。
胴鳴りだとか、弦鳴りだとかの世界じゃないの。
落雷の後の地響き、あれですね、しいていえば。
ブリッヂやコマ、ペグなどベースのあらゆる箇所が“ミシミシギリギリ”と一斉に
悲鳴をあげているし、時折飛び出すハーモニクス(ポョ〜ンってやつ)も砲弾の
如くあたりを飛び交います。
これならルーシェ氏のピアノもまったく気になりませんね。
とにかくその重さとスピードの速さに驚きます。
そこんとこマニアの皆さんならお分かりですね?
昨今リファレンスとして喧しいのか゜ケニー・バロンのレザボア盤ですが、ことベー
スの録音に関してはこちらも負けてません。
このベースを雛形あきこの胸のようにプルルンと立たせることができればあなたは
天才だ!などとはしたない剽窃の一つもやりたくなりますよ実際。
そんな風に聴こえない人は一度音楽舎の吉田さんに相談してみて下さい

[トップ ページ][MyProfile][こんてんつ][LINK][MAIL][掲示板あ・てんぽ][アルバム「ネコ岳」]

Copyright(c) 2003 Takuya.Ogata. All rights reserved.

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送