1.春
彼女の匂いに初めて出会ったとき。 おいら混乱してしまった。 今まで嗅いだことがない匂い。 とっても優しいんだけど、孤独で、頑なで一途な想いを感じさせる。 それは敢えて言えば「寂しさ」と表現すべきもんだろうけど、もっと純粋な「なにか」があったように思う。
匂いでそこまで判るのかって?
おいらこの鼻で街の雰囲気まで感じ取ることが出来るんだ。 そう言えば、去年の夏が過ぎる頃、この街の雰囲気が一変したときがあった。特に中学生達の雰囲気から。 今までのんびりした雰囲気から一変して畏れと不安、そして期待が感じられた時期があった。 秋が深まる頃のあの火事の匂い(イヤな臭いだね)がしてから、徐々にそんな雰囲気はなくなり始め、冬が来る前にはすっかり落ち着いてしまったけどサ。
初めての出会いに戸惑っていたおいらに、彼女は優しく声をかけて頭を撫でてくれた。 昔犬を飼ってたことがあるらしくて、大型犬の扱いにもそつがない。 とても恵まれている今の彼女の環境。 でも、おいらには判ったんだ。 本当の彼女はみんなが彼女自身を恐れたり、嫌いになることをもの凄く怖がっているって。 他人に対して素直に向き合うことが出来ない自分にちょっとイライラしてるって。 その時おいら感じたんだ。 彼女は仲間を欲しがっている・・・? |
この作品はTV版『六番目の小夜子』から発想を得た二次創作作品です。
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