2.5年前
しかし・・・
彼女が言った次の一言には驚かされた。 「あ〜る。お久しぶり〜。元気だった?」
おいら面食らった。 なんだって?おいらと彼女が昔会ってるぅ? 「アルフォンス死んじゃったんだ。覚えてる?」 アルフォンス! おいらの最初の友達。 老ゴールデンレッドリバーのアルフォンス・・・あ、、彼女の言葉にかすかに残っていた鼻腔の記憶が蘇ってきた。 思い出した!! おいらがまだ幼犬の頃。小さなかわいい少女といつも一緒に遊んだ覚えがある。 アルフォンスといつもいっしょにいた少女。
5年前、彼女は老犬アルフォンスと6ヶ月ほどこの街で暮らしたことがあった。おいらはまだ生まれて2ヶ月ほどのほんの子犬だった。 当時ウチのご主人と彼女の祖母のゆりえさん(と言わないと怒られる!)は家が近いこともありとても仲が良かった(今も仲良く横で世間話してる)ので、必然的に彼女とおいらの世話はアルフォンスが引き受け、一日1人と2匹で過ごしたことが何度もあった。 今考えると、おいらがアルフォンスから教わったことは数え切れないし、彼女との時には喧嘩しながらの楽しい日々も忘れられない思い出だ。
出会って6ヶ月近くが経ち、おいらは警察犬訓練学校に預けられることになり、彼女とアルフォンスが見送ってくれた。 「がんばってね。 」と声を掛けて抱きしめてくれた彼女のぬくもりとアルフォンスの気怠げな、しかし優しい慈愛に満ちた眼差しは今も記憶の中に残っている。 その時以来会っていなかったのだ。 おいらが訓練所から帰ってきたときにはアルフォンスと彼女はこの街を離れ、九州だか四国だかに引っ越していた。
思い出してみると簡単なことだ。 しかし、記憶の中にある彼女の匂いと今の彼女のそれとのあまりのギャップにすっかり騙されてしまっていたのだ。 なんたる失態。 嘱託警察犬の名が泣こうというものだ。
「また帰ってきたのよ。この街に・・」
彼女はなにを思い出したのか、とても懐かしそうに微笑んだ。 |
この作品はTV版『六番目の小夜子』から発想を得た二次創作作品です。
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